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裁判手続きのIT化について

裁判手続きのIT化について

今、日本の裁判手続きは世界の中で「IT化」の点で大幅な後れをとっています。

諸外国ではネットを使って裁判を申し立てたり訴訟記録を電子化してファイルを共有したり当事者と裁判所がメールでやり取りをしたりしてるいるのに、日本では相変わらず「紙」を使った方法にしか対応していません。

海外ではどのような形で裁判手続きのIT化が進められているのか、今後日本はどうしていくべきかなど、考えてみましょう。

海外における裁判手続きのIT化の現状

海外では、どのような方法で裁判にITが取り入れられているのでしょうか?

訴訟記録の電子化

まずは、裁判所における訴訟記録が電子化されています。

このことにより、記録の保管にかける膨大なコストを大きく削減できています。

また弁護士がオンラインで訴訟記録にアクセスできるようになり、裁判所にいちいち行って閲覧や謄写申請等する必要がなくなっています。

電子ファイルの共有

事件の記録が電子化されているため、裁判所や弁護士がすべての訴訟記録をオンラインで共有できます。裁判所と弁護士の労力を削減できて、事件進行をスムーズに進められるようになっています。

オンライン会議やメールの活用

海外では、弁護士と裁判所のやり取りがメールで行われる例が多数あります。また、オンライン会議を取り入れて、無駄な労力の削減もしています。

オンラインによる申立て

日本で裁判を申し立てるときには、紙の「訴状」や「申立書」等を裁判所に持参、または郵送しなければなりません。しかし諸外国ではオンラインによる申立が認められているところも多数あります。エストニアでは、弁護士が申立をする場合には「オンライン申請が義務」となっています。むしろ紙を使った申立が認められないのであり、日本とは逆転現象が生じています。

中国では、申立から審理、判決まですべてオンラインで完結するシステムが一部の事件で導入されています。

オンラインの導入を積極的に進めてきたシンガポールなどでは、将来的に交通事故などの案件にAIを取り入れ、自動システムで和解提案を行うなど、より積極的にIT化を推進しようとしています。

このように、諸外国では日本では考えられないほどの高度なIT化が進められている状況です。

遅れる日本のIT化

日本では、裁判手続きのIT化は非常に遅れています。

訴訟記録は電子化されていませんし、弁護士と裁判所とのやり取りは「紙」のみです。メールは利用せずFAXを使って通信をしています。

オンライン会議もほとんど認められておらず、5分で終わる裁判期日のために弁護士は北海道から沖縄まで行かねばなりません。そのために依頼者は高額な交通費と日当を支払います。オンラインによる申立や判決なども考えられない状況です。

裁判IT化の必要性

日本の裁判で、これほどまでにIT化が遅れているのは憂うべき状況です。

今やどこの国の人でもスマホやパソコンを使ってメールや共有ファイルなどのやり取りをしています。裁判所だけ頑なに「紙の文化」を守り続けても、時代に置いて行かれるだけです。

IT化をすると大幅にコストを削減できるのに、それをしないことによって無駄な税金を使うことも問題です。国民の理解を得にくく、司法に対する信頼の低下にもつながるでしょう。

世界標準ではどんどんIT化が進む中で日本の司法のみが後れをとっていくと、世界の中での日本の立ち位置すらも危ぶまれる可能性があります。

こういった危機感もあり、日本政府も裁判のIT化を進めようとしています。

まずは通常の民事裁判の審理においてウェブ会議などを積極的に取り入れ、法整備を行って、2022年頃から弁護士などがいちいち裁判所に出頭しなくても審理をできるようにすることを目指します。さらにオンライン申立ても可能な限り早期に実現する予定です。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/saiban/index.html

裁判手続等のIT化検討会

まとめ

今後数年の間に本当に日本でオンライン申立やオンライン会議、訴訟記録の電子化や共有ができるようになるのでしょうか?司法関係者の方にとって、これはかなり見物だと思います。これからの裁判におけるIT化の波からは目を離せない状況となりそうです。

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