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法科大学院の使命とは

法科大学院の使命とは

法科大学院ができてから10年以上が経ちますが、今その制度が大きく見直されようとしています。いわゆる「飛び級」を認める「法曹コース」を創設することが決まっていますが、それだけにとどまらず、野党は「司法試験の受験資格から法科大学院の修了要件を外すように」と主張しています。

そのようなことが起こったら何のための法科大学院かわからなくなってしまいます。

以下では、今後法科大学院に求められる役割、使命について考えてみましょう。

法科大学院制度創設の経緯

そもそも法科大学院は何のために創設されたか、ご存知でしょうか?

法科大学院ができる前、司法試験は各種の「司法試験予備校」が席巻している状況でした。つまり司法試験を受ける人はほとんどすべてどこかの司法試験予備校に通い、大学には出席せずにひたすら答案練習を繰り返すということが起こっていたのです。

これでは皆が予備校で教えられる同じような答案しか書けず画一的な法曹しか生まれなくなる上、大学の存在意義も問われる状況となりました。そこで予備校から法教育を取り戻すことなどを目的に法科大学院が創設されたのです。

「法科大学院を卒業しないと基本的に司法試験を受けられない」

そのルールを作ることにより、予備校から大学へと学生を呼び戻そうとしました。

法科大学院と予備試験の本来の役割

このように、法科大学院は本来学生に対し十分な法教育を行うべき役割を期待されています。学生が予備校に通わなくてもよいくらい質の高い教育を行い、法科大学院を卒業した学生は全員司法試験に受かるのが理想です。

予備試験は、どうしても法科大学院に行けない人にも法曹になる道を残すために作られた、まさに「予備的」な制度です。

司法試験受験資格から法科大学院過程修了要件の除外案が示すもの

このように、法科大学院には法教育における高い期待を寄せられていたにもかかわらず、今回国民民主党はなぜ「司法試験受験資格から法科大学院の課程修了要件を外すように」と主張しているのでしょうか?

理由は、法科大学院と法曹資格の不人気です。司法試験の合格率は受験者数の3分の1程度となっており、高いお金を払って法科大学院に通っても法曹になれるとは限らない状態が続いています。受験者数も低下しており閉鎖する法科大学院も相次いでいます。

このように法科大学院や法曹資格が不人気なのは、「法科大学院を卒業しなければならない」という受験資格が原因であると、国民民主党は考えています。

混迷する司法試験制度における法科大学院の役割と意義

実際、現在の司法試験において法科大学院は期待されていたような役割を果たしているとは言いがたい状況です。偏差値の低い法科大学院では司法試験の合格率がかなり低くなっていて、上位校と大きな差があります。

また、上位校であっても下位校であっても学生は以前と変わらず「予備校」に通い続けています。最近では「AIを使った予想問題」なども予備校から発表されており、このようなものが有効であれば「教授が学生に直接学問を教える」学校の存在意義が問われてしまいます。

混迷する司法試験制度の中で法科大学院が生き残っていくには、予備校とは異なる価値を提供することが不可欠です。

たとえば経験豊富な実務家と直接ふれあって成長するきっかけをつかませたり、予備校のように画一的ではない柔軟なカリキュラムを組んで予備校とは異なる機会を与えたりすることなどが期待されます。

それに伴い司法試験自体も、予備校より法科大学院の勉強をしっかり行った人が有利になるように変革しなければならないでしょう。

このままでは法科大学院は不要とされる時代が来てしまうかもしれません。先日の「修習生の給費制復活」に続き、法科大学院までなくして以前の制度に逆戻りしていってしまうのか、今後の行方を見守っていきたいところです。

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