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池袋交通事故にみる高齢者ドライバーによる交通事故の現状

池袋交通事故にみる高齢者ドライバーによる交通事故の現状

先日、東京の池袋にて87歳の男性が運転していた乗用車が起こした交通事故により、母子2名が死亡、10名の死傷者が発生しました。

近年の日本では、特に高齢者ドライバーによる交通事故が増加傾向にあります。

なぜ高齢者は交通事故を起こしやすいのか、またそれに対してどのような防止策がとられているのか、その効果など、解説していきます。

高齢者の事故が多発する理由

そもそも、どうして日本では高齢者ドライバーによる事故が多発しているのでしょうか?

1つには、日本で高齢化社会が進んでいることがあります。また従前と比べて健康寿命が延び、高齢者が元気に生活を送っていることも関係があります。

高齢者が75歳を超えても以前のように自宅にこもることなくアクティブに活動するので、自動車を運転する機会も多くなります。

しかし年齢による判断能力の低下は、どんなに元気な高齢者にも訪れます。

自分では自覚していなくても周囲に対する注意力は低下しますし、意識せずにスピードを出しすぎる傾向もあります。

高齢者ドライバー事故で特に多いのが「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」です。

今回池袋で発生した交通事故においても、運転者の男性はひたすらアクセルを踏み込み続けて赤信号であるにもかかわらず高スピードで交差点につっこみ、大惨事につながりました。

高齢者ドライバー事故で特に多い「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」

防御対策としてのセーフティ装置と普及状況

このように高齢者によって引き起こされる事故が多い中、国は何の取り組みもしていないのでしょうか?

実は以下のような取り組みが行われています。

先進安全自動車(ASV)推進計画

まずは、自動車の機体の改良です。具体的には「専心安全自動車(ASV)」と呼ばれる自動車を普及させようとしています。

現時点で主なASVの機能は「自動ブレーキ」です。前方に歩行者や物を感知すると、運転者がブレーキをかけなくても自動車が自然にブレーキをかけ減速します。

高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違えても、自動ブレーキがうまく働けば、事故を防ぎやすくなります。

前照灯の自動点灯(オートライト)の義務化

高齢の歩行者が死亡する交通事故に向けての取り組みも行われています。高齢者は夕方頃になると目が見えにくくなって車の前に飛び出してきやすいです。

そこで、薄暮時には車が自動的にライトをつける「オートライト」を義務化することにより、事故を防ごうとしています。

交通安全教育や啓発活動

身体能力や判断能力低下の自覚のない高齢者に対し、交通安全への意識を喚起させるため、自動車教習所で講習が行われるなど、交通安全教育や啓発活動が行われています。

セーフティ装置の普及状況

セーフティ装置の普及状況

国は高齢者ドライバーによる事故軽減のためにASVを普及させようとしていますが、2017年度において普及率は45.5%です。決して高い数字とは言えません。なぜASVが普及しにくいのでしょうか?

1つには、高齢者や家族における危機意識が小さいことがあります。強制されていないのであれば、つける必要はないと考えてしまうのです。

もう1つは、ASVをつけても必ずしも事故を防げないことです。前方に物や人がいても必ず感知できるわけではありませんし、必ずしも減速によって事故を防げるわけでもありません。そもそも速度を出しすぎていたら、いくらASVで減速しても間に合わないケースもあります。

不確実であるためにASVをあえて導入しないと判断されてしまうのです。

まとめ

そうはいっても日本では、高齢者ドライバーによる交通事故対策が必須です。個々のドライバーや家族の良識に任せていても解決は難しいでしょうから、たとえば運転免許を定年制にするなどより抜本的な対策が必要と考えられます。今後の国による対応に期待したいところです。

今後の国による対応に期待

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