司法修習って何するの?

司法修習って何するの?

司法試験に合格しただけでは弁護士、検事、裁判官にはなれない

 国内最難関の資格試験と言われる司法試験。しかし、その試験に合格したからといって、すぐに法律家として仕事を始められるわけではありません。司法試験で必要とされる法律知識は法律実務家として働くための最低限の知識に過ぎないため、実務を行うための知識や技術は司法試験の勉強とは別に習得しなければいけません。

そのため、弁護士や検事、裁判官といった法曹になるためには、司法試験に合格するだけでは足りず、その後に行われる1年間の司法修習を修了しなければならないとされています。

 しかし、この司法修習の内容については修習生に守秘義務があることもあって、あまり公になることはありません。

 そこで、この記事では、司法修習を経験した筆者が、守秘義務に違反しない範囲で、司法修習でどのようなことが行われているのか紹介したいと思います。

国から給与をもらって修習を行う

 まず、司法修習というのは、司法試験合格者が実務家として必要な最低限の知識や技法を習得するために行われるものです。司法修習は、最高裁判所の司法研修所という機関が実施主体となって行われています。期間は11月後半から翌年の12月までの約1年間で、司法修習生は、その期間中は月額13万5000円の給与を受けます。なお、住居費がかかる場合はこの給与に加えて月額3万5000円を上限とした住居費を受け取ることができます。

この修習には、埼玉県の和光市にある司法研修所で行われる「集合修習」と呼ばれる修習と、47都道府県にある各地の地方裁判所や地方検察庁、法律事務所で行われる「実務修習」と呼ばれる修習があります。

 集合修習は約2か月の間、講義が中心に裁判での事実整理や事実認定の方法などを学ぶほか、模擬裁判も行われます。希望者は研修所内に設けられた寮に入ることができます。集合修習は実務修習が終わってから行われます。

実務修習は47都道府県で行われますが、地域の希望は出せるものの、その希望を受け入れてもらえる保証はなく、まったく考えてもいなかったような地域で実務修習を受けるという事態も多くみられます。

実務修習は民事裁判、刑事裁判、検察、弁護の4つに分かれ、それぞれ約2か月ずつ行われます。

民事裁判と刑事裁判は、各地方裁判所の裁判官室に設けられた司法修習生用の席に座って、実際に行われている裁判の記録を読んだ上で裁判官と議論し、自分なりの判決文を書いて裁判官から指導を受けるなどして、裁判実務に必要な知識や技法を学びます。刑事裁判では裁判員の合議にも立ち会い、どのようにして裁判員が判決の結論を導いているのか学びます。

検察修習では、各地方検察庁で指導担当の検察官が受け持つ刑事事件の取り調べを行った上で証拠や情状を考慮した上で起訴するべきか不起訴にするべきか検討し、検察官と議論することなどを通して、検察官の捜査手法や判断方法を学びます。刑事裁判における検察官の仕事を学ぶのは少しだけで、ほとんどの時間は起訴するまでの検察官の仕事を学ぶことにあてられています。機会があれば死体解剖への立ち合い等も行い、普段は知ることができない捜査の実態を学びます。

弁護修習では、法律事務所の担当の弁護士の下で法律相談や裁判、刑事事件の面会などに同席して弁護実務を学びます。この弁護修習に関しては、配属される法律事務所や担当になる弁護士によって中身が大きく変わってきます。企業法務の事務所であれば当然そのような仕事を見ることが中心になりますし、刑事事件を多く担当する弁護士が担当になれば刑事事件を多く見ることになります。

このほか、模擬裁判や家庭裁判所修習など各修習生の希望によって行われる選択修習もありますが、期間としては他の修習よりも短く、また希望も必ず通るわけではありません。

実務修習は、自分が就く法曹の仕事を知る点でも重要ですが、それ以上に自分が就かない法曹の仕事を知る機会としての意味合いが大きいと思います。筆者は弁護士志望だったので、検察官や裁判官の考え方を知る機会は実務修習期間しかないと思っていたので、積極的に質問などをして考え方を学ぶように心がけていました。

司法試験よりもハードな二回試験

司法修習の期間は1年間ですが、最後に二回試験(正式名称は「司法修習生考試」)と呼ばれる司法修習の修了認定試験に合格しないと修習を修了したことになりません。この二回試験は毎年11月に、司法修習のプログラムの最後に行われます。合格率は年によって異なりますが、平均すると大体98%前後の合格率です。合格率はかなり高いですが、受験生は全員司法試験に合格した人なので、一般に行われている試験よりは母集団のレベルが高く、決して簡単な試験ではありません。

二回試験の試験科目は全部で5科目ですが、5科目中1科目でも不合格になると二回試験は不合格となり、司法修習を修了する前に罷免され、司法修習生の地位を失います。不合格になった場合は次の年の11月に行われる二回試験を受けて合格しないと司法修習を修了したことにはなりません。

二回試験に合格しないと弁護士や検察官、裁判官にはなることはできず、内定先にも迷惑をかけてしまうため、かかるプレッシャーは司法試験の比ではありません。

まとめ

 一般にはあまり知られていない司法修習ですが、法律実務家になるために欠かすことができない非常に大切な機会です。特に実務修習は受入れ先にとっては大きな負担となるもので、関係者の善意で成り立っている面も多くあります。

 司法修習は知識や技法だけでなく、法曹としての心構えや自覚を形成する大事な機会です。実りある修習生活を送って社会の役に立つ法律家になることが求められます。

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