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日本の勾留制度はむしろ近代的!~日本と海外の勾留制度の違いから考える~

日本の勾留制度はむしろ近代的!

日本と海外の勾留制度の違いから考える

先日から、日産の前会長であるゴーン氏が有価証券報告書の虚偽記載や特別背任罪で逮捕・勾留されていることに対し、諸外国のメディアから批判が集まっています。

そこでは日本の勾留(身柄拘束)制度に対し、人権無視と言われています。

実際に、日本と諸外国の勾留制度にはどのような違いがあるのでしょうか?本当に日本の勾留制度が人質司法で人権無視と言えるのか、以下で諸外国の制度と比較してみましょう。

日本の場合

日本では、逮捕されるとその後3日以内に勾留決定があります。勾留期間は原則として10日ですがさらに10日追加できるので、最大で20日まで延長できます。逮捕後勾留期間が満了するまでの23日間において、捜査官から取り調べなどを受けることとなります。

取り調べ時における録音や録画の義務はありません。

勾留期間

アメリカの場合

アメリカの場合には、逮捕後起訴されるまでの期間は原則的に30日間とされています。必要があればさらに30日間勾留期間を延長できます。日本では最長でも23日ですから、アメリカの方が起訴前の身柄拘束期間が長期に及ぶ可能性が高くなります。

取り調べの録音や録画については、日本と同様、アメリカでも行われていません。ただし州によっては録音や録画が義務づけられているケースもあります。

フランスの場合 

ゴーン氏の祖国であるフランスの場合、犯罪の種類によって大きく取扱いが異なります。

フランスでは重罪と軽罪、違警罪の3種類があり、それぞれ審理される裁判所も異なります。「重罪」になると、基本的に1年以内の身柄拘束が可能であり、延長されると4年まで拘束可能とされています。日本ではこのような長期の身柄拘束はあり得ません。

「重罪」被疑者となった場合には、捜査官による取調べと予審判事による取調べについて,録音と録画が義務づけられています。

イギリスの場合

イギリスの場合には、身柄拘束期間は原則として逮捕後24時間以内です。ただし正式起訴になる場合などには、延長によって最大96時間(4日間)の身柄拘束が可能とされています。イギリスは比較的、被疑者段階における身柄拘束期間の短い国と言えます。

また警察における取り調べ時には録音が義務づけられており、この意味でも人権が強く守られています。

ドイツの場合

ドイツの場合、起訴の前後を通じて原則6か月の勾留期間が認められます。

日本では起訴前の勾留は最大23日、起訴後は原則30日として随時延長可能という扱いになっていますが、ドイツでは起訴前と起訴後の勾留を分けて考えておらず、「通算」して6か月と計算します。すると起訴前の勾留期間が延びたらその分不当な取り調べが行われる危険性も高まります。(日本では起訴後の取り調べは認められません)。

またドイツでは「原則6か月」としながらも、事案によっては「無制限に延長が可能」とされています。

取り調べにおける録音や録画の制度もありません。

韓国の場合

同じアジアの国である韓国でどうなっているのでしょうか?

韓国では、警察段階と検察段階を通じて最長30日間の身柄拘束が可能とされます。日本では最長23日ですから、それよりは長くなっています。それでもアメリカで延長されたケースやフランスの重罪事件、ドイツの法制度などよりは短くなります。

取り調べ時における録音や録画は義務ではありませんが、録画の「制度」そのものは存在します。

http://www.moj.go.jp/content/000076304.pdf

法務省HP: 諸外国の刑事司法制度

まとめ

以上を見ると、起訴前の身柄拘束期間について日本では諸外国と比べても短い方であるとわかります。今回ご紹介した主な国の中で、日本よりも身柄拘束期間が短いのは「イギリス」のみです。

ゴーン氏の祖国であるフランスでは、重罪の被疑者に対し1~4年の身柄拘束を認めているのであり、果たして日本の刑事司法を「中世的、前近代的」と批判できるのか?という疑問もわいてきます。

刑事司法は私たちにとって非常に重要な問題です。諸外国から批判を受けたからと言って鵜呑みにする必要はありませんが、私たち自身の手でよりよいものにしていきたいところです。

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