インハウスロイヤーの給与や労働条件は?

インハウスロイヤーの給与や労働条件は?

企業や官公庁など団体に所属しながら、弁護士として働けるインハウスロイヤー。しかし「将来法律事務所に勤務する時に不利になるのでは?」と、インハウスロイヤーを選ぶことに不安を抱える人も少なくありません。ここではインハウスロイヤーとして勤務することのメリット・デメリット面を紹介しながら、インハウスロイヤーの給与や労働条件を解説します。さらに、インハウスロイヤーに向いている人・向いていない人についてもあわせて説明します。

企業でのインハウスロイヤーの役割

「日本組織内弁護士協会」という任意団体をご存知でしょうか?同協会は日本でインハウスロイヤーとして働く弁護士で構成された団体です。同協会の調査によると、2017年時点で企業などに属する弁護士の人数は約2,000人。この企業に属する、いわゆるインハウスロイヤーは年々増加傾向にあると言われています。

インハウスロイヤー(inhouse lawyer)とは、官公庁や企業などの団体に職員として所属している弁護士を指します。なかには会社の取締役、学校など教育団体の理事など役員になっている弁護士もいます。特に、企業に所属している弁護士を「企業内弁護士」とも言います。企業のインハウスロイヤーは、社内の法務部に配属されるのが一般的です。

ところで、このインハウスロイヤーが増えるとどうなるのでしょうか。よく「法律事務所が少なくなる」と言われますが、確かに法律の知識がある社員が増える分、外部の弁護士事務所に依頼する仕事は少なくなるでしょう。しかし、それがかえって事務所どうしでの競争を生み、依頼の内容も高度になっていくことから、弁護士自体のスキルが上がると予測する声もあります。そういったことから、インハウスロイヤーは社内だけではなく、法曹界全体の資質向上につながるでしょう。

インハウスロイヤーの給与・業務内容

インハウスロイヤーの給与・業務内容

インハウスロイヤーの人数が増加すると、これまで外部の弁護士に依頼していた仕事が社内で済むようになります。また、既に社内にはインハウスロイヤーがいるため、一般の法律事務所に依頼される仕事も難易度の高いものになるでしょう。そのため法律事務所の業務量も増えることになります。そうなると、法科大学の学生、学院生、卒業生の就職にも有利になると予測されます。

社会的にもこれから必要とされるインハウスロイヤーですが、実際のところどんな働き方、給与なのでしょうか。まず、インハウスロイヤーの主な就職先は大きく以下に分かれます。

大手企業

大手企業ではコンプライアンス窓口を設けていることが多く、コンプライアンス対応を目的とした書類作成やチェック、管理などを行います。また一般社員に対するコンプライアンス教育を行ったり、雇用や株主総会対策、金融業務の処理、監査など多岐にわたる業務があります。また国際法務に関する書類作成やチェックなど、英語力が必要になる職場もあります。

外資系企業

外資系企業では、一般の大手企業に比べて法律の知識と語学力が必要になります。主な業務は、日本と企業のある国内との法律、権利関係のチェックや書類作成、外国語での契約書作成・締結、問い合わせ対応などがあります。

ベンチャー企業

ベンチャー企業では、コンプライアンス対応が不十分な所が多いため、まず社内・業界のルールを確立する必要があります。そこで法律に則った就業規則やコンプライアンスを整備するため、インハウスロイヤーとして活躍できるケースもあるでしょう。

学校法人など

主に私立校や教育団体などで、いじめや学校内のトラブル予防や対策をしたり、トラブル時に適切な対応ができるよう助言を行うことがあります。

インハウスロイヤーの給与は、所属する企業や業界、勤務時間などによって違いがあります。なかでも業務量の多くて複雑な金融業界が年収も高く、1,000万円から1,250万円という人が多いようです。ただ平均年収では500万円から700万円とされており、弁護士としては必ずしも年収が多いとは言えないでしょう。

インハウスロイヤーに向いている人

インハウスロイヤーは企業内で働くため、勤務時間なども社内規定に沿うことが多くなります。そのため、弁護士事務所に勤務するよりは労働時間が短く、就労環境も比較的整っていることから、ワークライフバランスを重視したい人には向いていると言えるでしょう。

また、一般企業で仕事をするので、法律の知識だけではなく社内の業務、業界の知識なども幅広く身につくでしょう。企業内のインハウスロイヤーは書類作成やチェック、顧客対応など業務が多岐にわたることから、弁護士業に必要な接遇や対人スキルも向上できます。

インハウスロイヤーは仕事だけでなく、毎日の生活を充実させたい人や、育児・介護などで長時間労働はできないという人にも向いているでしょう。また金融や雇用問題など、専門性を身につけたいという人も、インハウスロイヤーになるメリットがあります。ただし、現時点では人脈がないと、法律事務所に復帰するのは難しいという意見もあります。

インハウスロイヤーになるには

企業内で弁護士として働くインハウスロイヤーは、年々増加傾向にある新しい選択肢です。インハウスロイヤーは弁護士として決して高収入とは言えませんが、ワークライフバランスの充実だけではなく、弁護士としてのスキルアップや将来の「強み」になるような専門性を身につけられます。インハウスロイヤーは業界や企業によっても給与や労働条件が異なるので、まずは語学力や顧客対応など必要なスキルを身につけるために、企業の求人を見てみるのもいいでしょう。

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